ビジネス/スキル

営業の勝負は、商談前に決まっている。──『営業は台本が9割』から学ぶ「仕事の台本」

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営業は話し方で決まると思っていませんか。『営業は台本が9割』と、食品メーカー営業・コンサル営業の経験から見えてきたのは、営業力とは成果のために「何を考えるべきか」を設計する力だということでした。相手を見る余裕を生む「仕事の台本」を紹介します。

みなさんこんにちは!サラリーマンの大樹です!

食品メーカーで営業をしていた頃、ワールドカップに合わせたビールの売場提案をしたことがあります。

限定デザインの青い缶。

イベントに合わせた売場。

店舗限定のユニフォーム。

当時の私は、「これは売れる」と思っていました。

実際、提案は採用されました。

それでも、想定した売上には届きませんでした。

売場を四つのメーカーで分け合うことになったからです。

どのメーカーも、同じワールドカップに注目していました。

似た企画を考え、同じ売場を狙っていたのです。

提案は採用された。

しかし、成果は出なかった。

私はそこで初めて、採用される提案と、成果が出る提案は違うと気付きました。

当時の私は、自分たちが何を売りたいかを考えていました。

どんな企画なら目立つか。

どんな売場なら盛り上がるか。

でも、本当に考えるべきだったのは別のことです。

この店舗は、どんな成果を求めているのか。

他社も同じ提案を持ってくる可能性はないか。

採用されたあと、どうすれば実際の売上につながるのか。

つまり、私は提案を作っていましたが、成果までの台本を作れていませんでした。

現在、私はコンサル営業として働いています。

扱う商材は変わりました。

それでも、この失敗から学んだことは変わりません。

商談前には、会社のホームページだけでなく、ニュース、公開資料、インタビュー記事などを確認します。

場合によっては、担当者が公開しているSNSの発信まで見ます。

相手を驚かせるためではありません。

その人が何を大切にしているのか。

何に困っている可能性があるのか。

どんな説明なら伝わりやすいのか。

その仮説を作るためです。

しかも、仮説は一つではありません。

この課題かもしれない。

別の課題かもしれない。

どちらも違うなら、今日は提案を急がず、まず話を聞こう。

商談が始まる前に、いくつもの分岐を考えます。

だから本番では、「次に何を話そう」と考える時間が減ります。

その代わり、お客様を見られます。

ある話題だけ声に熱が入った。

質問に答えるまで、少し間があった。

最初に聞いていた悩みより、別の話を長く続けている。

そうした小さな変化に気付けるのは、自分のことで頭がいっぱいではないからです。

この仕事の向き合い方を言葉にしてくれた一冊が、『営業は台本が9割』でした。

タイトルだけを見ると、営業トークを覚える本のように思えるかもしれません。

しかし、私が本書から受け取った「台本」は、決められたセリフではありません。

目的を決める。

相手を理解する。

仮説を立てる。

本番で確認する。

終わったあとに振り返る。

営業を感覚だけに任せず、成果が出た理由と出なかった理由を整理するための設計図です。

この記事で伝えたいことは、一つです。

営業力とは、話す力ではありません。

成果を出すために、「何を考えるべきか」を設計する力です。

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『営業は台本が9割』の台本は、セリフ集ではない

営業がうまくいったとき、その理由を説明できるでしょうか。

相手との相性が良かった。

会話が盛り上がった。

タイミングが良かった。

それだけで終われば、次の商談で同じ成果を出せるとは限りません。

失敗したときも同じです。

反応が悪かった。

提案が刺さらなかった。

うまく話せなかった。

これだけでは、次に何を変えればいいのか分かりません。

『営業は台本が9割』の価値は、営業をその場限りの感覚で終わらせず、再現できる仕事へ変えようとする点にあります。

台本がなければ、うまくいっても偶然です。

失敗しても、原因が曖昧です。

一方で、商談前に目的や仮説、確認事項を整理しておけば、商談後に比較できます。

目的は達成できたか。

最初の仮説は合っていたか。

何を聞いたことで、相手の考えが見えたか。

どこで方向を変えるべきだったか。

つまり、本書でいう台本は、本番で読み上げる原稿ではありません。

商談を振り返り、次の仕事を改善するための基準です。

食品メーカー時代のワールドカップ提案で、私は「採用された」という結果だけを見ていました。

しかし、本来の目的は採用ではありません。

売上を伸ばし、お客様にも成果を出してもらうことでした。

目的が曖昧だったから、採用された時点で成功したと思ってしまったのです。

仮に当時、仕事の台本を作るなら、最初に書くべきだったのは提案のセリフではありません。

「この企画によって、どんな成果を作るのか。」

という目的です。

目的が決まれば、考えるべきことも変わります。

他社も同じイベントを狙っていないか。

四社が採用された場合、自社の売場はどれほど目立つのか。

採用後に売上を伸ばすには、何が必要か。

私は当時、そこまで考え切れていませんでした。

『営業は台本が9割』を読んで感じたのは、型を持つことは、自分を窮屈にすることではないということです。

型があるから、抜け漏れに気付けます。

目的があるから、成功と失敗を判断できます。

仮説があるから、結果と比較できます。

そして振り返る基準があるから、次の商談を改善できます。

台本を作る目的は、一度の商談を予定どおり進めることではありません。

営業を、改善し続けられる仕事に変えることです。

台本は、決められた道から外れないために作るものではありません。

想定から外れたときにも、目的を見失わないために作るものなのです。

食品メーカー営業とコンサル営業では、「考え始める場所」が違う

私は食品メーカー営業から、コンサル営業へ転職しました。

扱うものは大きく変わりました。

食品メーカー営業では、最初から売る商品があります。

夏ならアイス。

冬なら鍋関連の商品。

季節や需要に合わせて、商品をどのように提案するかを考えます。

まず理解するのは、商品の特徴です。

競合商品と何が違うのか。

どんな売場なら価値が伝わるのか。

どんな顧客に選ばれやすいのか。

そこから、お客様の状況に合わせて提案を組み立てます。

つまり、思考の順番は、

商品 → お客様の目標や課題 → 提案

です。

ただし、商品を詳しく説明できるだけでは、営業として十分ではありません。

同じ夏にアイスを提案するとしても、お客様の目的は毎回違います。

前年を超える売上を目指しているのか。

売場のマンネリ化を解消したいのか。

競合店との差別化を図りたいのか。

目的が変われば、提案も変わります。

ワールドカップの提案で失敗したのも、この部分を考え切れていなかったからです。

私は商品の魅力や企画の面白さを考えていました。

しかし、お客様が求める成果や、競合メーカーまで含めた売場全体の状況を十分に設計できていませんでした。

商品から考え始めても、最後は必ずお客様へたどり着かなければいけません。

一方、コンサル営業では、最初から決まった商品を提案するわけではありません。

だから、考え始める場所はお客様です。

この会社は何を目指しているのか。

今、どんな変化が起きているのか。

何が目標達成を妨げているのか。

その課題に対して、自分たちはどんな支援ができるのか。

思考の順番は、

お客様 → 課題 → 解決策

になります。

食品メーカー営業は商品起点。

コンサル営業は顧客起点。

出発点は違います。

しかし、その先でやっていることは同じです。

相手の目標を理解する。

課題について仮説を立てる。

商談で確認する。

結果を振り返り、次の提案を改善する。

『営業は台本が9割』を読んで、私は二つの営業経験が一本につながりました。

台本とは、特定の商品を売るための決まり文句ではありません。

成果へたどり着くまでに、何を考えるべきかを整理するものです。

だから、扱う商材が変わっても使えます。

お客様が変わっても使えます。

営業以外の仕事にも応用できます。

型を持つ目的は、すべてのお客様へ同じ話をすることではありません。

毎回相手が違っても、考えるべきことを見失わないためです。

ここを間違えると、台本はただのマニュアルになります。

決めた順番で話す。

用意した質問をすべて聞く。

最後まで提案資料を説明する。

それでは、台本を守ることが目的になり、目の前のお客様が見えなくなります。

本来は逆です。

台本があるからこそ、台本から離れられる。

目的と判断基準が整理されていれば、予定していた流れと違っても慌てません。

「最初の仮説は違った。」

「では、別の可能性を確認しよう。」

と切り替えられます。

私は商談前に、会社のホームページやニュース、公開資料を確認します。

必要があれば、インタビュー記事や担当者が公開しているSNSの発信まで目を通します。

調べたことを披露したいわけではありません。

相手のことを考える材料が欲しいからです。

この人は、どんな立場で商談に参加するのか。

何を大切にしていそうか。

どんな伝え方なら理解しやすいか。

何を不安に思う可能性があるか。

そこから、一つではなく複数の仮説を作ります。

最初の話題に興味を持ってもらえたら、次は何を確認するか。

反応が薄ければ、どこへ戻るか。

想定と違う課題が出たら、提案を止めて何を聞くか。

私にとって台本とは、一本道のシナリオではありません。

相手の反応に合わせた分岐図です。

すべての展開を予想することはできません。

でも、違う可能性を事前に考えておけば、仮説が外れたときにも相手を見続けられます。

営業に必要なのは、最初の予想を当てる力ではありません。

予想が外れたときに、相手の話を聞きながら修正する力です。

その状態を作るために、商談前の台本があります。

良い商談とは、受注できた商談ではない

営業では、受注できたかどうかで商談を評価しがちです。

もちろん、最終的に受注へつなげることは大切です。

しかし、すべての商談で受注を目指す必要はありません。

初めて会う相手と、すでに何度も話している相手では、目的が違うからです。

初回の商談なら、お客様の状況を理解することが目的かもしれません。

まだ信頼関係ができていないなら、「この人になら話してもいい」と感じてもらうことが目的になるかもしれません。

提案前なら、課題の優先順位を確認できれば十分な場合もあります。

だから私は、商談前に必ず考えます。

「今日、何ができればこの商談は成功なのか。」

課題を一つ特定する。

次回、専門家を交えた打ち合わせにつなげる。

担当者が社内で説明するときの不安を把握する。

必要な意思決定者を確認する。

目的が変われば、準備する台本も変わります。

相手の話を聞くことが目的の日に、無理に提案を進める必要はありません。

次回につなげることが目的の日に、その場で結論を迫れば、かえって信頼を失うこともあります。

良い商談とは、必ず受注できた商談ではありません。

商談前に決めた目的を達成できた商談です。

目的が明確なら、商談後の振り返りも具体的になります。

何となく雰囲気が良かった。

相手がたくさん話してくれた。

それだけで終わりません。

必要な課題を確認できたか。

次の行動を決められたか。

当初の仮説はどこまで合っていたか。

どの時点で流れを変えたか。

『営業は台本が9割』が重視する再現性は、こうした振り返りによって生まれます。

商談の目的がなければ、成功も失敗も曖昧です。

目的があるから結果を評価できます。

仮説があるから、想定との違いを確認できます。

台本があるから、次回に向けて改善できます。

だから、台本の最初に書くべきなのはセリフではありません。

商談の目的です。

目的が決まる。

すると、必要な仮説が見えてきます。

仮説が決まる。

すると、確認すべきことが見えてきます。

相手の反応によって、どこへ分岐するかも考えられます。

私が作っている台本は、最初から最後まで決められた物語ではありません。

目的地を見失わないための地図です。

地図があっても、現地の状況によって道は変わります。

予定していた道が通れなければ、別の道を選びます。

それでも迷子になりにくいのは、目的地が決まっているからです。

営業も同じです。

用意した質問を全部聞く必要はありません。

提案資料を最後まで説明する必要もありません。

相手の話を聞きながら、その日の目的へ近づくために判断する。

それが、私にとって台本を使うということです。

台本があるから、本番では相手だけを見られる

私は、準備が好きな人間ではありません。

旅行では、細かい予定を立てないこともあります。

偶然見つけた景色。

その場で入った店。

予定外に起きた出来事。

決まっていないからこそ楽しめるものもあると思っているからです。

でも、仕事だけは別です。

商談には目的があります。

会議にも、プレゼンにも、達成したい状態があります。

成功の定義があるから、その確率を上げるために準備します。

準備が好きだからではありません。

準備した方が、本番が楽になるからです。

準備が足りない商談では、自分のことで頭がいっぱいになります。

次は何を話そう。

必要な質問を忘れていないか。

用意した資料を最後まで説明できるか。

予想外の質問をされたら、どう答えよう。

意識が相手ではなく、自分へ向いてしまいます。

一方、事前に目的や仮説、分岐を考えていれば、本番でゼロから組み立てる必要がありません。

想定していた課題と違えば、別の可能性を確認する。

提案よりも課題整理が必要なら、話すことを止めて聞く。

その日のゴールを変えた方がよければ、無理に受注を目指さない。

一度考えた選択肢があるだけで、頭に余白が生まれます。

私は、その余白で相手を見ています。

ある話題だけ、声に熱が入った。

質問に答える前に、少し間があった。

提案内容よりも、社内での進め方を気にしている。

最初に聞いていた悩みより、別の話を長く続けている。

こうした小さな変化は、次のセリフを考えていたら見逃してしまいます。

そして、本当の課題は、その小さな変化の中に隠れていることがあります。

お客様が最初に話した悩みが、必ずしも根本的な問題とは限りません。

本人もまだ整理できていないかもしれません。

社内事情があり、話しにくいのかもしれません。

そもそも、初めて会った営業担当者に本音をすべて話そうとは思わないでしょう。

だから私は、質問の技術だけでは不十分だと考えています。

本当の課題を話してもらうには、まず信頼してもらわなければいけません。

そのためには、こちらが先に相手を考える必要があります。

会社について調べる。

相手の立場を想像する。

話しやすい順番を考える。

何を売るかより先に、何を知るべきかを整理する。

準備とは、自分が上手に話すためのものではありません。

相手が話しやすい状態をつくるために、自分の頭を空けることです。

『営業は台本が9割』というタイトルだけを見ると、台本に相手を当てはめるような印象を持つかもしれません。

でも、私が本書から受け取った意味は逆でした。

台本があるから、予定どおりに進める必要がなくなる。

台本があるから、相手の反応に合わせて変えられる。

台本があるから、自分ではなく相手へ意識を向けられる。

つまり台本は、本番を縛るものではありません。

本番で自由になるためのものです。

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王翦の強さは、戦場に立つ前から始まっている

『営業は台本が9割』を読みながら、私は『キングダム』に登場する王翦を思い出しました。

王翦は、勢いだけで戦う将軍ではありません。

敵の兵力。

地形。

補給。

相手の狙い。

援軍の可能性。

戦いが始まる前に情報を集め、複数の展開を想定します。

実際の戦場では、予想外のことも起こります。

それでも崩れにくいのは、すべての出来事を当てているからではありません。

状況が変わったときに、何を基準に判断するかを考えているからです。

営業も同じです。

商談前にどれだけ調べても、相手の考えを完全に当てることはできません。

仮説がすべて外れる日もあります。

しかし、複数の可能性を考えていれば、

「想定と違った。」

だけで終わりません。

「では、次に何を確認すればいいのか。」

へ進めます。

もちろん、営業の相手は敵ではありません。

勝ち負けを競う相手でもありません。

お客様と一緒に、より良い答えへたどり着くために準備します。

私が王翦から連想するのは、戦い方ではなく、本番前に考え切る姿勢です。

成果を本番の勢いや才能だけに任せない。

必要な情報を集める。

目的を決める。

複数の展開を考える。

そして現場では、状況に合わせて判断する。

『営業は台本が9割』が伝える再現性と、王翦の準備には、この共通点があると感じました。

準備は、仕事を増やすことではない

ここまで読んで、

「そこまで準備する時間がない。」

と思った方もいるかもしれません。

確かに、相手について調べ、複数の仮説を作るには時間がかかります。

それでも私が準備するのは、準備しない方が後で苦しくなるからです。

準備をしなければ、商談中に考えます。

次に何を聞くのか。

どの資料を見せるのか。

何を目的に話を進めるのか。

相手の言葉を聞きながら、自分の進め方も同時に考えなければいけません。

商談が終わったあとも、

「何となくうまくいかなかった。」

で終わりやすくなります。

事前に目的も仮説もなければ、何と比較して振り返ればいいのか分からないからです。

一方、準備をすれば、考える時間を前へ移せます。

本番で考えるはずだったことを、前日や商談前に考えているだけです。

仕事が増えたのではありません。

考える場所を変えています。

しかも、事前なら落ち着いて考えられます。

資料を見直せます。

不足している情報を調べ直せます。

複数の可能性を比較できます。

本番で追い込まれながら考えるよりも、判断の精度は上がります。

商談後の振り返りも具体的になります。

目的は達成できたか。

仮説はどこまで合っていたか。

どこで方向を変えたか。

次回は何を調べるべきか。

こうして台本を書き換えれば、次回の準備は少し速くなります。

仕事を重ねるほど、考えるべきことが整理されていくからです。

私は、準備とは未来の自分を助けることだと思っています。

昨日調べた自分。

仮説を立てた自分。

複数の分岐を考えた自分。

その準備があるから、今日の自分は相手だけを見られます。

営業以外の仕事にも、台本はある

『営業は台本が9割』というタイトルですが、この考え方は営業だけのものではありません。

目的があり、誰かと関わり、成果を求められる仕事には、すべて台本があります。

例えば、会議です。

会議が始まってから、

「今日は何を決めるんだろう。」

と考えていては、議論についていくだけで終わります。

事前に、

今日決めたいことは何か。

誰がどこを気にしそうか。

意見が割れたら、何を判断材料にするか。

そこまで考えておけば、本番では議論に集中できます。

プレゼンも同じです。

台本とは、話す文章を一字一句覚えることではありません。

聞き手は何を知っているのか。

どこで疑問を持つのか。

何を理解すれば、次の判断へ進めるのか。

質問が出たら、どの資料へ戻るのか。

それを設計しておくことです。

資料作成にも台本があります。

何ページ作るかではありません。

資料を見た相手に、何を理解してほしいのか。

どんな判断をしてほしいのか。

そのために、どの情報をどの順番で見せるのか。

これが資料の台本です。

上司との面談。

部下へのフィードバック。

転職活動。

社内調整。

どれも本質は変わりません。

本番で上手に話すことより、

誰と話すのか。

何を目的にするのか。

どんな反応があり得るのか。

何を確認するのか。

そこを事前に考えることで、成果へ近づきやすくなります。

もちろん、すべてを細かく決める必要はありません。

旅行のように、決まっていないこと自体を楽しむ時間もあります。

でも仕事には、多くの場合、達成したい状態があります。

目的があるなら、その成功確率を高めるために考える。

それが、仕事に台本を作る意味です。

今日からできる。「仕事の台本」の作り方

では、明日の仕事から何を変えればいいのでしょうか。

最初から、細かい台本を作る必要はありません。

私も、商談で話す言葉を最初から最後まで書いているわけではありません。

整理しているのは、本番で判断するために必要なことです。

まずは、次の3つから始めてみてください。

① 本番の目的を一つ決める

最初に考えるのは、

「何ができれば、今回の仕事は成功なのか。」

ということです。

商談なら、受注だけが成功とは限りません。

お客様の課題を一つ確認する。

次回の打ち合わせにつなげる。

専門家を交えた提案の了承を得る。

社内で判断するために必要な条件を聞く。

商談の段階によって、目指す場所は変わります。

会議なら、何を決めるのか。

プレゼンなら、相手に何を理解してほしいのか。

資料なら、どんな判断をしてほしいのか。

目的が曖昧なままでは、何を準備すべきかも決まりません。

反対に、目的が具体的になれば、必要な情報や質問が見えてきます。

② 相手について、複数の仮説を立てる

次に、相手が考えていることを想像します。

ここで大切なのは、正解を一つに決めないことです。

例えば、

一番の課題はコストかもしれない。

人材不足の方が深刻かもしれない。

そもそも、課題をまだ整理できていないかもしれない。

最低でも三つほど考えておくだけで、本番での見え方は変わります。

一つの仮説しか持っていなければ、それを証明するための質問ばかりしてしまいます。

相手の話を聞いているつもりでも、自分が用意した答えへ誘導してしまうのです。

複数の仮説があれば、

「最初の想定とは違うかもしれない。」

と立ち止まれます。

どの仮説にも当てはまらなければ、提案を急がず、相手の話を聞くことへ切り替えられます。

台本は、正解を当てるためだけのものではありません。

自分の思い込みに気付くためのものでもあります。

③ 終わったあとに、台本を書き換える

最後に、仕事が終わったら振り返ります。

受注できたか。

会議で結論が出たか。

プレゼンが評価されたか。

もちろん、結果も大切です。

しかし、結果だけを見ても、次に何を変えればいいのかは分かりません。

確認するのは、事前に作った設計です。

目的は適切だったか。

必要な情報を調べられていたか。

仮説はどこまで合っていたか。

予想外の反応が出たとき、相手を見て切り替えられたか。

もっと早く気付けたサインはなかったか。

ここまで振り返れば、失敗も次の台本へ変わります。

反対に、うまくいった商談でも、

「なぜうまくいったのか。」

を言葉にできなければ、再現できません。

『営業は台本が9割』が教えてくれる大切な価値は、成功も失敗も偶然で終わらせないことです。

商談前に考える。

本番で確認する。

終わったら振り返る。

そして、次の台本を書き換える。

この循環によって、経験が営業力へ変わっていきます。

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すぐに使える一つのセリフではなく、自分の営業を長く改善していく土台を作りたい人に向いている一冊です。

まとめ|営業の勝負は、商談前に決まっている

食品メーカー営業時代、私はワールドカップに合わせた提案が採用され、成功したと思いました。

しかし、提案が採用されることと、成果が出ることは同じではありませんでした。

自分たちが売りたい商品。

自分たちが作りたい企画。

そこから考えるだけでは、お客様にとっての価値にならないことがあります。

必要だったのは、もっと相手を見ることでした。

お客様は何を目指しているのか。

何を成果と考えているのか。

その実現を妨げているものは何か。

自分たちは、そのために何ができるのか。

コンサル営業へ転職してから、扱う商材は変わりました。

しかし、営業の本質は変わりませんでした。

食品メーカー営業では、商品からお客様へ考えます。

コンサル営業では、お客様から解決策へ考えます。

出発点は違います。

でも、成果へたどり着くために必要なことは同じです。

目的を決める。

相手を理解する。

仮説を立てる。

複数の分岐を考える。

本番で確認する。

終わったら振り返り、台本を書き換える。

『営業は台本が9割』は、この思考を感覚のまま終わらせず、再現できる形へ変える大切さを教えてくれました。

台本とは、決めたセリフを読み上げるためのものではありません。

台本どおりに相手を動かすためのものでもありません。

相手に合わせて判断するために、自分の思考を整理するものです。

事前に考えているから、本番では自分の不安に支配されません。

次に何を話すかではなく、相手が何を考えているかに集中できます。

準備した仮説が外れても、それで終わりではありません。

違うと分かったなら、台本を書き換えればいい。

その繰り返しが、次の仕事を少しずつ良くしていきます。

私は、営業がうまい人とは、話がうまい人ではないと思っています。

相手のことを、人一倍考えられる人です。

その人が何を目指しているのか。

何に困っているのか。

何を言いにくそうにしているのか。

自分たちに何ができるのか。

そこまで考える時間が、本番の余裕と信頼を作ります。

だから明日、大切な商談や会議があるなら、一つだけ問いを変えてみてください。

「自分は何を話そう。」

ではありません。

「この相手のために、自分は何を考えておくべきだろう。」

その問いを立てた瞬間から、あなたの仕事の台本は始まります。

営業力とは、話す力ではありません。

成果を出すために、「何を考えるべきか」を設計する力です。

そして営業の勝負は、本番ではなく、相手のために考え始めたその時間から、すでに始まっているのです。

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