人生/生活

続かなかったのは、意志が弱かったからじゃない。──『GRIT やり抜く力』から学んだ、情熱を守る生き方

人生/生活

「何をやっても続かない」「自分は意志が弱い」と悩んでいませんか。『GRIT やり抜く力』が教えてくれたのは、根性で努力を続ける方法ではありません。長く追い続けたい目標を持ち、改善しながら何度でも戻る力です。営業・転職・ボルダリングの実体験から、仕事の成果につながるGRITの本質を考えます。

みなさんこんにちは!サラリーマンの大樹です!

「また続かなかった。」

その一言だけで、自分を評価していませんか。

英語の勉強。

資格の勉強。

筋トレ。

新しい仕事。

始めたときは、今度こそ変わろうと思っていた。

でも、仕事が忙しくなる。

疲れて何もしたくなくなる。

数日間、手が止まる。

すると私たちは、驚くほど簡単に結論を出します。

「やっぱり自分は意志が弱い。」

「自分には向いていない。」

でも、本当にそうでしょうか。

私は食品メーカーからコンサルティング業界へ転職したとき、一度も「向いていないかもしれない」とは考えませんでした。

もちろん、最初から何でもできたわけではありません。

扱う商材は、有形から無形へ変わりました。

お客様ごとに課題が異なり、同じ説明を繰り返すだけでは通用しません。

知らない業界や専門用語もありました。

結果が出ない時期もあります。

それでも、向いていないとは思いませんでした。

やると決めて入った仕事です。

始めたばかりで、向いているかどうかが分かるはずもありません。

私が考えていたのは、いつも一つだけでした。

どうすれば、できるようになるだろう。

知識が足りなければ勉強する。

自分だけで仮説を立てられなければ、専門家の力を借りる。

提案が伝わらなければ、説明を増やす前に質問を変える。

商談が終わったら、設計どおりに動けたかを振り返る。

向いているかどうかは、結果を出したあとに振り返ればいい。

まずは、改善できることを試す。

私はそう考えてきました。

そんな私が『GRIT やり抜く力』を読んで、これまでの仕事や挑戦を支えていたものを、初めて言葉にできた気がしました。

それは、意志の強さではありません。

毎日休まず努力できる、特別な才能でもありません。

人は、努力でやり抜くのではない。

情熱があるから、改善し続けられる。

そして、その改善の積み重ねが、やがて仕事の成果へ変わっていく。

この記事で伝えたいのは、その一つだけです。


『GRIT やり抜く力』は、努力できない自分を責めるための本ではありません。「自分は何を長く追い続けたいのか」を考えるきっかけをくれる一冊です。

GRITは、才能を否定する根性論ではない。

『GRIT やり抜く力』の中で、特に印象に残ったのが、アメリカ陸軍士官学校ウェストポイントで行われた研究です。

ウェストポイントには、能力や体力などの厳しい基準を突破した候補生が集まります。

入学できた時点で、誰もが優秀です。

それでも、厳しい訓練の途中で離脱する人がいます。

では、最後まで残る人と、途中で離脱する人には、どのような違いがあるのでしょうか。

単純な学力でしょうか。

体力でしょうか。

生まれ持った才能でしょうか。

著者アンジェラ・ダックワース氏の研究では、従来の能力評価だけでは、その後も訓練を続けられるかを十分に説明できませんでした。

そこで重要な要素として浮かび上がったのが、GRITです。

GRITとは、長期的な目標に対する情熱と粘り強さを表します。

ただし、ここで誤解してはいけません。

この本は、「才能はいらない」と言っているわけではありません。

才能が成果に影響することは否定していません。

気合いさえあれば、誰でも必ず成功できるという話でもありません。

本書が示しているのは、才能だけでは成果までたどり着けないということです。

それを分かりやすく表したのが、次の考え方です。

才能 × 努力 = スキル

スキル × 努力 = 成果

努力は、二度登場します。

才能があっても、努力しなければスキルとして磨かれません。

スキルを身につけても、それを使い続けなければ成果にはつながりません。

つまり、努力には大きな意味があります。

しかし、ここで新しい疑問が生まれます。

なぜ、ある人は長い間努力できるのでしょうか。

なぜ、結果が出ない時期にも改善を続けられるのでしょうか。

その答えが、GRITを構成するPassion、つまり情熱です。

努力は重要です。

でも、努力だけを切り取っても長くは続きません。

長い時間をかけても進みたい方向がある。

その情熱が、努力へ戻る理由になります。

Passionとは、毎日の熱量ではなく、長期目標への一貫性である。

「情熱」という言葉を聞くと、毎日ワクワクしながら働く姿を想像するかもしれません。

好きな仕事なら続けられる。

夢中になれることを見つければ成功できる。

私も以前は、そのように考えていました。

しかし、本書で語られるPassionは、一時的な熱量ではありません。

今日どれだけやる気があるかでもありません。

長い時間をかけて、同じ最上位の目標へ向かい続けることです。

私はこの考え方を、自分なりに、

人生をかけても進みたい方向

と捉えました。

毎日、その仕事を好きである必要はありません。

営業をしていれば、提案が通らない日もあります。

何時間も準備した商談が、思うように進まないこともあります。

結果が出ず、自信を失う時期もあります。

それでも、長い目で見れば、もっとお客様の役に立てる営業になりたい。

より大きな課題を解決できる人になりたい。

その方向へ進みたいと思える。

それが情熱です。

私が食品メーカーからコンサルティング業界へ転職した理由も、前職が嫌になったからではありません。

食品メーカーでは、有形商材の営業を経験しました。

商品を通して、卸店やスーパーの課題を解決する。

季節や売場に合わせて、何を提案すべきかを考える。

そこで営業の基礎を学びました。

その経験を重ねるうちに、次は無形商材へ挑戦したいと思うようになりました。

決まった商品を売るだけではなく、お客様ごとに異なる課題そのものを考える仕事がしたい。

もっと違う世界を見たい。

もっと大きな仕事へ挑戦したい。

仕事の内容は変わりました。

必要な知識も、提案の作り方も変わりました。

でも、変わらなかったものがあります。

お客様の役に立てる営業になりたい。

その方向です。

Passionとは、職業名ではありません。

「食品営業」や「コンサル営業」という方法でもありません。

仕事や環境が変わっても残り続ける、人生の方向です。

だからこそ、方法を変えても戻ってこられます。

そして情熱は、ある日突然、完成した形で見つかるものでもありません。

本書で語られるInterest、つまり興味は、さまざまな経験や周囲との関わりを通して少しずつ育っていきます。

最初から「これが天職だ」と分かる必要はありません。

まず、やってみる。

学んでみる。

小さな面白さを見つける。

さらに深く関わってみる。

そうやって興味が育ち、長く追い続けたい方向へ変わっていきます。

だから、挑戦の入口で向き不向きを決める必要はありません。

今すぐ大好きになれなくてもいい。

まず考えるべきなのは、

この方向へ、もう少し進んでみたいか。

ということです。


「好きなことが見つからない」と悩む人にも、本書は一つの視点をくれます。情熱は、待っていれば突然現れるものではなく、興味を持ち、関わり、育てていくものだからです。

Perseveranceとは、同じことを続ける力ではない。改善しながら戻ってくる力である。

Passionが「どこへ向かいたいか」だとすれば、Perseveranceは「その方向へどう戻り続けるか」です。

日本語では、粘り強さと訳されます。

この言葉だけを見ると、苦しくても同じことを我慢して続ける姿を想像するかもしれません。

しかし、私は本書を読んで、Perseveranceをそのようには捉えませんでした。

本当にやり抜く人は、同じ方法に固執していないからです。

結果が出なければ、方法を変える。

弱点が見つかれば、練習の内容を変える。

自分だけでは解決できなければ、周囲の力を借りる。

守っているのは、最初に決めたやり方ではありません。

長期的に実現したい目標です。

『GRIT やり抜く力』では、意図的な練習の重要性が語られています。

ただ長い時間を使うだけではありません。

何ができていないのかを明確にする。

自分の現在地より少し難しい課題へ挑戦する。

結果を受け止める。

改善して、また試す。

この繰り返しです。

営業でも同じです。

商談の数を増やすだけでは、同じ失敗を何度も繰り返すことがあります。

大切なのは、商談後に何を考えるかです。

なぜ、お客様の反応が変わらなかったのか。

本当に困っていることを聞けていたか。

提案の前提となる仮説は合っていたか。

今回の商談で、どこまで進めるかというゴールを決めていたか。

設計したとおりに動けたか。

一つずつ振り返れば、次に変えられることが見えてきます。

私は食品メーカーで営業をしていた頃から、コンサルティング営業へ転職したあとまで、変わらず続けていることがあります。

常に改善しまくることです。

食品メーカーでは、商品や季節から提案を考える場面が多くありました。

例えば、夏ならアイス。

冬なら鍋関連の商品。

相手が前年を超える売上を目指しているなら、その目標に合わせて、商品や売場を提案します。

コンサルティング営業では、扱う課題がさらに広がりました。

同じ会社でも、部署によって悩みは違います。

同じテーマでも、求める成果は違います。

だから、以前うまくいった提案を、そのまま持っていっても通用しません。

相手を理解する。

仮説を作る。

質問で確認する。

必要なら専門家を巻き込む。

結果を振り返り、次の提案を変える。

業界も商材も変わりました。

それでも、改善する姿勢だけは変わりませんでした。

私は、営業の成長は小手先のテクニックだけでは決まらないと思っています。

もちろん、話し方や資料の作り方も大切です。

でも、最後に相手との関係を動かすのは、粘り強く、誠実に向き合う姿勢です。

すぐに答えが出なくても、相手の課題を理解しようとする。

分からないことがあれば調べる。

必要な人へ協力を求める。

提案を作り直す。

その姿勢が少しずつ伝わり、相手も本音や情報を返してくれるようになります。

私は、「正しいことを正しくやれば、結果は出る」と考えています。

ただし、何が正しいかは、最初から完全には分かりません。

だから検証します。

設計します。

振り返ります。

間違っていたら修正します。

同じ方法を信じ続けるのではありません。

改善すれば次の結果は変えられると信じる。

それが、私にとっての粘り強さです。

Interest・Practice・Purpose・Hopeが、情熱を仕事の成果へ変える。

本書では、GRITを内側から育てる要素として、四つの視点が紹介されています。

Interest。

Practice。

Purpose。

Hope。

四つの言葉だけを暗記しても、仕事は変わりません。

しかし、自分の仕事へ当てはめると、情熱が成果へ変わる流れが見えてきます。

Interest|興味は、待つのではなく育てる

最初から、自分に合う仕事が分かる人ばかりではありません。

実際にやってみなければ、面白さも難しさも分かりません。

私も、最初からコンサルティング営業のすべてに興味を持っていたわけではありません。

知らないことばかりでした。

それでも、企業ごとに異なる課題を知る。

専門家の話を聞く。

自分の提案によって相手の反応が変わる。

そうした経験を重ねるうちに、仕事の面白さが深まっていきました。

興味があるから始めることもあります。

一方で、始めたからこそ興味が育つこともあります。

だから、始める前に天職かどうかを決めなくていいのです。

Practice|繰り返すのではなく、改善する

毎日商談をしているだけでは、必ずしも営業力は上がりません。

同じ一年でも、毎回改善した人と、同じやり方を繰り返した人では、得られる成長が違います。

商談前に仮説を作る。

商談のゴールを具体的に決める。

終了後に、設計どおりに動けたかを確かめる。

数字で検証できることは数字で見る。

数字に表れないことも、次に確かめられる形へ整理する。

経験を、次の行動へつなげる。

それがPracticeです。

Purpose|自分の成果を、誰かの価値へつなげる

売上を達成したい。

評価されたい。

収入を上げたい。

どれも仕事を続ける理由になります。

しかし、自分のためだけの目標では、苦しい時期に気持ちが切れやすくなります。

営業の仕事には、お客様がいます。

提案によって相手の課題を解決する。

相手の事業を前へ進める。

その結果として、自分の売上や成長にもつながる。

仕事が自分以外の誰かの価値につながっていると分かると、努力の意味が変わります。

私は、営業が好きというより、提案を通して相手の役に立てることに価値を感じています。

だから、商材が変わっても営業を続けられました。

Hope|次の行動で、未来は変えられる

Hopeは、何の根拠もなく「きっとうまくいく」と考えることではありません。

結果が悪くても、次の行動によって状況を変えられると信じることです。

失注した事実は変えられません。

しかし、次の商談で行う質問は変えられます。

知識が足りなかった過去は変えられません。

しかし、明日からの学び方は変えられます。

過去の結果を、自分の能力が固定されている証拠にしない。

次の改善点を教えてくれる材料にする。

この考え方があるから、人はもう一度挑戦できます。

Interestによって、進みたい方向が育つ。

Practiceによって、能力が磨かれる。

Purposeによって、努力に意味が生まれる。

Hopeによって、失敗したあとも戻ってこられる。

四つは別々の知識ではありません。

情熱を、長期的な成果へ変える一つの流れなのです。

向いているかどうかは、結果を出したあとに振り返ればいい。

新しい仕事へ挑戦したとき、

「自分には向いていないかもしれない。」

そう考えたことがある人もいると思います。

結果が出ない。

周囲の人の方が早く仕事を覚えている。

自分だけ分からないことが多い。

そんな状況では、向き不向きを疑いたくなります。

しかし私は、コンサルティング業界へ転職したあとも、自分に向いていないとは考えませんでした。

やると決めて入った仕事です。

始めて間もない段階で、向いているかどうかを判断できるとは思わなかったからです。

分からないことが多いのは当然です。

最初から、難しい商談についていけるわけではありません。

経験者と同じように提案できるわけでもありません。

その段階で「向いていない」と結論を出せば、自分の成長する可能性を、自分で閉じてしまいます。

考えるべきなのは、

向いているかどうかではなく、どうすればできるようになるか。

業界知識が足りないなら、勉強する。

論点が分からないなら、事前に整理する。

自分だけで仮説を立てられないなら、専門家の力を借りる。

お客様に伝わらないなら、説明量ではなく質問や順番を変える。

まだ試していないことがあるなら、向き不向きを決める段階ではありません。

もちろん、何をしても必ず結果が出るとは限りません。

努力の方向が間違っていることもあります。

市場や環境によって、目標そのものを見直す必要がある場合もあります。

だからこそ、「正しいことを正しくできているか」を検証します。

ただ頑張るのではありません。

仮説を立てる。

実行する。

結果を見る。

改善する。

できることを試し、結果を出したあとで振り返る。

そのとき初めて、自分の強みや向いている仕事が見えてきます。

向き不向きは、挑戦する前に自分を止めるための答えではありません。

挑戦した結果から、自分を知るための答えです。

もし今、あなたが「この仕事に向いていない」と考えているなら、もう一つだけ問いかけてみてください。

本当に向いていないのでしょうか。

それとも、まだ改善できることが残っているのでしょうか。

「諦める」と「中断する」は違う。止まっても、戻ればいい。

ここまで『GRIT やり抜く力』を読み解いてきて、私は一つの考えにたどり着きました。

それは、

「諦める」と「中断する」は違う。

ということです。

これは、本書にそのまま書かれている言葉ではありません。

PassionとPerseveranceを自分の仕事や生活へ重ねた結果、私なりに考えたことです。

諦めるとは、未来そのものを手放すことです。

もう、その方向へ進まない。

人生の選択肢から外す。

そう決めることです。

一方で、中断は違います。

仕事が忙しくなった。

家庭を優先する必要が出てきた。

体調を崩した。

今は別のことへ時間を使いたい。

その結果、一時的に手が止まる。

でも、落ち着いたらまた戻る。

それは、未来を諦めたことにはなりません。

人生の優先順位を変えただけです。

私自身、仕事、英語、中国語、運動を、毎日すべて完璧に続けられているわけではありません。

数日できないこともあります。

だらだら過ごす日もあります。

Netflixを見続けて、一日が終わる休日もあります。

だからといって、英語を諦めたわけではありません。

健康を手放したわけでもありません。

一日単位では止まっていても、週単位で見れば、また戻っています。

本を読む。

勉強する。

運動する。

仕事を改善する。

私は、それでいいと思っています。

やり抜く人とは、一日も休まない人ではありません。

立ち止まった自分を責め続ける人でもありません。

自分が進みたい方向を覚えていて、何度でも戻ってこられる人です。

だから、もし今あなたが何かを止めているなら、すぐに「続かなかった」と結論づけなくていい。

一度だけ、問い直してみてください。

本当にやめたいのは、目標でしょうか。

それとも、今の方法でしょうか。

本当に諦めたいのでしょうか。

それとも、今は少し休む必要があるだけでしょうか。

この二つを分けるだけで、自分への見方は大きく変わります。

ただし、「いつか戻る」と考えるだけでは、そのまま終わってしまうこともあります。

だから中断するときは、戻る条件を決めておくことが大切です。

仕事が落ち着いたら再開する。

来週の月曜日から戻る。

平日は難しいから、土曜日だけ行う。

毎日一時間ではなく、まず十分から始める。

戻る日や条件を決めれば、中断は諦めに変わりません。


『GRIT やり抜く力』は、止まった自分へ「もっと頑張れ」と迫る本ではありません。自分が本当に守りたい目標と、変えていい方法を分けて考える助けになります。

限界を超えたのは、根性だけではなく、改善と声援が積み重なっていたからだ。

「もう無理だ。」

そう思ったあとに、もう一度だけ挑戦できるか。

私はボルダリングを通して、何度もその瞬間を経験してきました。

特に覚えているのが、御岳にある「水の詩」という3級の課題です。

何度挑戦しても登れませんでした。

動きを変える。

足の位置を修正する。

重心を意識する。

それでも落ちる。

失敗を重ねるほど、体力だけではなく、気持ちも削られていきます。

もう今日は無理かもしれない。

そう感じたとき、一緒にいた人たちが声をかけてくれました。

次はいける。

今の動きは良かった。

その声で、急に筋力が増えたわけではありません。

技術が一瞬で上がったわけでもありません。

それでも、もう一度だけ挑戦してみようと思えました。

そして、それまでに修正してきた動きを重ね、最後に登り切ることができました。

ボルダリングは、筋力や技術だけで決まる競技ではありません。

もう無理だと思ったあとに、気持ちを切らさず、次の一手を出せるか。

メンタルの影響がとても大きい競技です。

ただし、「気合いで登った」とまとめるのは違います。

最後の一回までに、足の位置を変えていました。

体の向きを変えていました。

何度も失敗しながら、動きを修正していました。

声援だけではなく、それまでの改善が積み重なっていた。

だから最後の一回が、成功につながったのです。

これは営業でも同じです。

結果が出ないとき、粘るだけでは意味がありません。

同じ提案を繰り返しても、同じ結果になる可能性が高い。

大切なのは、改善した上で、もう一度挑戦することです。

自分だけで改善点が見つからなければ、先輩へ聞く。

仮説が立てられなければ、専門家の力を借りる。

周囲から別の視点をもらう。

ときには、「次はいける」と信じてもらう。

一人で最後まで抱えることだけが、粘り強さではありません。

周囲の力を借りながら、目標へ戻ることもGRITです。

本書で語られるHopeは、何の根拠もなく成功を信じることではありません。

自分の行動によって、次の結果は変えられると信じることです。

登れなかった過去は変えられません。

しかし、次の足の位置は変えられます。

失注した事実も変えられません。

しかし、次の質問や準備は変えられます。

変えられない過去ではなく、変えられる次の行動を見る。

それが、人をもう一度挑戦へ戻してくれます。

パク・セロイが守ったのは、方法ではなく、自分が信じた方向だった。

『GRIT やり抜く力』を読んで、私が思い出した作品があります。

『梨泰院クラス』です。

主人公のパク・セロイは、目標を実現するまで、同じ方法だけを続けているわけではありません。

店づくりを変える。

仲間を集める。

経営方法を見直す。

新しい仕組みを取り入れる。

必要に応じて、資金の集め方も変える。

方法は何度も変わります。

それでも、自分が信じる方向は変えません。

私は、その姿が本書で語られるPassionとPerseveranceに重なりました。

情熱があるから、方法を変えられる。

方法を変えられるから、失敗したあとも戻れる。

戻り続けるから、少しずつ目標へ近づいていく。

この順番です。

仕事でも同じです。

昔うまくいった営業方法が、今も必ず通用するとは限りません。

お客様が変われば、課題も変わります。

時代が変われば、情報収集や商談の方法も変わります。

同じ会社でも、部署によって見ている問題は違います。

だから、成果を出し続ける人ほど、方法を変えています。

一方で、

お客様の役に立ちたい。

相手の課題を解決したい。

価値のある提案をしたい。

その方向は変えません。

軸がある人とは、何も変えない人ではありません。

変えていいものと、変えてはいけないものを理解している人です。

やり方を変えることは、逃げではありません。

信じた方向へ進み続けるための選択です。

もし今、あなたが方法を変えようとしているなら、それだけで「続かなかった」と考えなくていい。

大切な目標を守るために、必要な変化を選んでいるだけかもしれません。

今日から、情熱を仕事の成果へ変える四つの問い

『GRIT やり抜く力』を読んで、「もっと努力しなければ」と思う必要はありません。

努力量を増やす前に、何のために努力するのかを整理する方が先です。

情熱が曖昧なまま努力だけを増やしても、苦しくなったときに戻る理由がありません。

反対に、進みたい方向が明確なら、今の方法が合わなくても選び直せます。

今日から、次の四つを考えてみてください。

1.自分が長く進みたい方向は何か

最初に書き出してほしいのは、資格や役職の名前ではありません。

「営業成績を上げたい。」

「英語を話せるようになりたい。」

「管理職になりたい。」

これらは目標ですが、その先があります。

なぜ営業成績を上げたいのでしょうか。

もっと大きな仕事を任されたい。

お客様の経営課題まで考えられる営業になりたい。

自分の提案によって、相手の仕事を前へ進めたい。

そこまで掘り下げると、長く進みたい方向が見えてきます。

私の場合、食品メーカーからコンサルティング業界へ転職しても、根底にある方向は変わりませんでした。

もっと価値のある提案ができる営業になりたい。

その方向があったから、新しい業界でも学び直せました。

あなたが今取り組んでいることの先には、どんな人生があるでしょうか。

その答えが、戻る理由になります。

2.やめたいのは、目標か方法か

結果が出ないとき、目標と方法を混同してしまうことがあります。

受注できない。

だから営業を辞めたい。

英語が続かない。

だから英語を諦めたい。

運動へ行けない。

だから健康管理は向いていない。

でも、本当にやめたいのは目標でしょうか。

今の提案方法が合っていないだけかもしれません。

今の教材では続けにくいだけかもしれません。

毎日一時間という計画が、今の生活に合っていないだけかもしれません。

目標を捨てる前に、方法を分けて考えてみてください。

営業を諦めたいのか。

それとも、今の営業方法を変えたいのか。

英語を話せる未来を諦めたいのか。

それとも、今の勉強方法を変えたいのか。

この違いに気づけば、必要以上に自分を責めなくて済みます。

3.次に改善することを一つだけ決める

結果が出ないと、すべてを変えたくなります。

資料も変える。

話し方も変える。

勉強時間も増やす。

新しい本も読む。

でも、同時に多くを変えると、何が結果へ影響したのか分からなくなります。

次に改善することは、一つで構いません。

商談の冒頭で、相手の目標を確認する。

提案を始める前に、課題認識が合っているか確かめる。

商談前に、今回のゴールを一文で決める。

終わったあとに、設計どおり動けたかを振り返る。

一つ試す。

結果を見る。

次の改善点を決める。

小さく検証を繰り返す方が、漠然と努力量を増やすよりも成長につながります。

4.中断するなら、戻る日か条件を決める

仕事が忙しく、勉強や運動へ時間を使えない時期はあります。

そのときに無理をして、仕事も生活も崩してしまっては意味がありません。

一度止めても構いません。

ただし、「時間ができたら戻ろう」だけでは、そのまま忘れてしまう可能性があります。

来週の月曜日から再開する。

繁忙期が終わったら戻る。

平日は休み、土曜日だけ取り組む。

一時間できなくても、十分だけ行う。

戻る日や条件を決めておけば、中断は諦めに変わりません。

GRITとは、どんな状況でも同じ量の努力を続ける力ではありません。

今の生活に合わせて方法を変えながら、長期的な目標へ戻り続ける力です。

四つの問いに答えたら、最後に一文へまとめてみてください。

私は、〇〇という未来へ進むために、次は〇〇を改善する。

完璧な答えでなくて構いません。

情熱も、仕事を続けながら育っていきます。

まずは今の時点で、自分が進みたい方向と、次に変える行動を言葉にする。

そこから始めれば十分です。

私も毎日努力しているわけではない。それでも、また戻ってくる。

ここまで読むと、私が毎日努力を続ける人に見えるかもしれません。

でも、実際はそんなことはありません。

だらだら過ごす日もあります。

Netflixを見続けて、一日が終わる休日もあります。

英語も中国語も勉強しない日があります。

運動へ行かない日もあります。

仕事、勉強、運動を、毎日すべて完璧に両立できているわけではありません。

一日単位で見れば、何も積み上げていないように見える日もあります。

それでも、数日経てばまた戻っています。

本を読む。

英語を学ぶ。

運動する。

仕事を振り返る。

私は、それでいいと思っています。

努力したから今がある。

それは間違いありません。

ただ、その努力は、一度も立ち止まらずに積み上げたものではありません。

疲れて休んだ日もあります。

遊ぶことを優先した日もあります。

やる気が出ず、何もしなかった日もあります。

それでも、自分が進みたい方向まで手放したわけではありませんでした。

毎日努力できるかどうかだけで、自分の意志の強さを判断する必要はありません。

大切なのは、長い時間で見たときに戻っているかどうかです。

今日できなかったとしても、明日戻ればいい。

明日も難しければ、来週戻ればいい。

戻るために方法を変えてもいい。

私は、『GRIT やり抜く力』を通して、やり抜く人に対する見方が変わりました。

やり抜く人とは、努力の苦しさを感じない人ではありません。

毎日高い熱量を保てる人でもありません。

疲れる。

迷う。

止まる。

それでも、自分が本当に進みたい方向を覚えている。

そして、何度でも戻ってくる。

その繰り返しが、振り返ったときに「継続」と呼ばれるのだと思います。

まとめ|人は、情熱があるから改善し、何度でも戻ってこられる。

『GRIT やり抜く力』を読む前、私は、やり抜く力とは努力を続ける力だと思っていました。

意志の強い人が、誘惑や疲れに負けず、毎日努力を積み重ねる。

そんな特別な人だけが持つ力だと考えていました。

しかし、本書が示したGRITは、単純な根性論ではありませんでした。

才能を否定する考え方でもありません。

努力すれば、誰でも必ず成功できるという約束でもありません。

長期的な目標に対する情熱を持つ。

弱点へ向き合い、意図的に改善する。

自分の仕事を、誰かへ届ける価値と結びつける。

失敗しても、次の行動によって結果を変えられると信じる。

そして、止まったとしても、同じ方向へ戻ってくる。

その積み重ねが、GRITです。

才能は、努力によってスキルへ変わります。

スキルは、さらに努力することで成果へ変わります。

だから、努力は大切です。

私自身も、努力したから今があります。

でも、人は努力そのものを目的にして、何年も走り続けられるわけではありません。

その努力の先に、自分が本当に進みたい未来がある。

だから、改善できます。

結果が出なくても、もう一度試せます。

方法を変えても、同じ目標へ戻れます。

食品メーカーからコンサルティング業界へ転職したときも、私が守ったのは仕事の形ではありませんでした。

もっと価値を届けられる営業になりたいという方向でした。

営業で結果が出ないときも、向いていないと判断する前に、改善できることを考えてきました。

御岳の「水の詩」に登れなかったときも、失敗を繰り返し、周囲の声援を力に変え、もう一度挑戦しました。

そして今も、仕事、語学、運動のすべてを毎日完璧にできているわけではありません。

それでも、また戻っています。

だから、今何かが続かず、自分を責めている人に伝えたいことがあります。

一度止まっただけで、意志が弱いと決めないでください。

向いていないと判断する前に、改善できることを探してください。

やめたくなったときは、目標と方法を分けて考えてください。

休む必要があるなら、戻る日を決めて休んでください。

『GRIT やり抜く力』は、もっと頑張るための本ではありませんでした。

情熱を、努力と成長へ変える本でした。

人生は、途中で止まってもいい。

でも、

自分が本当に生きたい未来だけは、終わらせないでほしい。


『GRIT やり抜く力』を読むと、「なぜ自分は努力できないのか」ではなく、「自分は何のためなら、何度でも戻ってこられるのか」を考えられるようになります。

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