営業で成果が出ないとき、アポ数や行動量を増やすことは大切です。しかし、それだけでは案件が前に進まないことがあります。『ザ・キャッシュマシーン』のTOCから、営業を「案件がキャッシュになるまでの流れ」として捉え、顧客が意思決定できる状態をつくるための考え方を紹介します。
みなさんこんにちは!サラリーマンの大樹です!
営業の数字が足りない。
そんなとき、あなたなら何をしますか?
僕なら、まず行動量を見ます。
アポ数は足りているか。
顧客との接点は足りているか。
そもそも案件を生み出すだけの活動ができているか。
営業において、量は大切です。
僕は、
「量より質」
という言葉を、そのまま信じてはいません。
質を語る前に、一定の量をやる。
まず動く。
会う。
話す。
失敗する。
そこから見えてくるものがある。
これは営業に限らず、仕事では大切だと思っています。
ただ。
営業をしていると、量だけでは説明できない瞬間があります。
アポは取れている。
顧客とも会えている。
提案もしている。
フォローもしている。
なのに、案件が動かない。
こちらは動いているのに、顧客の意思決定だけが止まっている。
そんな状態です。
僕は今、コンサルティングファームで営業をしています。
案件を追っていると、
「こちらの動きが足りない」
だけでは説明できない停滞があります。
顧客は、本当にこのテーマに取り組みたいと思っているのか。
そもそも投資できるお金があるのか。
誰が最終的に決めるのか。
こうした前提を十分に聞き出せていないと、こちらが何回動いても案件は前に進みません。
逆に、決裁者とつながったことで、一気に話が進むこともあります。
同じ営業。
同じように動いている。
なのに、なぜ差が出るのか。
その答えを考えるうえで面白かったのが、
『ザ・キャッシュマシーン――儲け続ける仕組みをつくれ!』
という本です。
この本は、
トップ営業の話し方を教える本ではありません。
営業活動を、
顧客が入り、案件が進み、契約され、最終的にキャッシュになるまでの一つの流れ
として捉えます。
この記事で伝えたいことは一つです。
量は必要です。
でも、量だけでは詰まりは解消しません。
成果を伸ばしたいなら、
「もっとやる」
の前に、
「今、どこで止まっているのか」
を見る必要があります。
『ザ・キャッシュマシーン』は、営業トークやクロージング術ではなく、TOC(制約理論)を営業・販売プロセスへ応用したビジネス小説です。
売上が足りないなら、まず量を出す。それでも進まない案件がある
営業では、量が大切です。
ここは最初に明確にしておきたい。
アポが少ない。
顧客接点も少ない。
提案数も少ない。
それなら、まず増やすべきです。
僕も数字が悪ければ、まず行動量を見ます。
特にアポ数です。
営業活動そのものが不足しているのに、
「ボトルネックが……」
と難しい話をしても意味がありません。
まずやる。
量を出す。
そのうえで考える。
この順番だと思っています。
問題は、
量を増やしたあとも成果が比例して増えない場合です。
仮にアポが増えた。
商談も増えた。
提案も増えた。
でも受注はほとんど増えない。
そんなとき、
さらにアポだけを増やせばいいのでしょうか。
もちろん、それが正解の場合もあります。
でも、違う場合もあります。
商談数は十分ある。
しかし、ほとんどの案件で顧客の検討が止まっている。
その原因が、
「提案が足りない」
ではなく、
「予算がない」
だったら。
担当者は前向き。
提案にも納得している。
でも誰が決めるのか分からない。
その状態で提案書だけを磨き続けても、案件は進みません。
営業では、
動いていることと、進んでいることは違います。
ここを混同すると、
成果が出ない。
↓
もっと動く。
↓
案件が増える。
↓
忙しくなる。
↓
でも決まらない。
という状態に入ります。
だから、量を出したあとには別の問いが必要になります。
どこで止まっているのか。
です。
営業成果は「どれだけ動いたか」ではなく、案件が最後まで流れるかで決まる
『ザ・キャッシュマシーン』が面白いのは、
営業を「人」だけで見ないところです。
普通の営業本では、
質問力。
提案力。
ヒアリング力。
クロージング。
信頼関係。
こうした個人の能力へ目が向きます。
もちろん、全部大切です。
僕自身、対人コミュニケーションをかなり重視しています。
ただ、本書はもう少し上から営業を見ます。
一人の営業マンではなく、
営業プロセス全体
です。
たとえば、
見込み客を見つける。
↓
顧客と会う。
↓
ニーズを理解する。
↓
提案する。
↓
条件を詰める。
↓
意思決定してもらう。
↓
契約する。
↓
導入する。
↓
入金される。
営業をこうして一本の流れとして見る。
すると、
「誰が一番優秀か」
とは違う問題が見えてきます。
どこで案件が止まっているか。
です。
本書では、売上が足りないからといって、単純に見込み客を増やせば解決するわけではありません。
見込み客を増やす。
すると、その後ろの工程に仕事が流れます。
ところが、後工程が同じ速度で処理できなければ、今度はそこが詰まります。
つまり、
一つの場所を改善すると、
別の場所が次の制約になる。
ここが重要です。
入口だけを広げても、
途中が細ければ出口は増えません。
だから全体の成果を決めるのは、
全工程の平均点ではない。
流れを一番強く制限している場所
です。
営業組織を見るとき、
「全員のスキルを上げよう」
だけでは足りない。
「一番流れを止めているのはどこか」
まで見なければいけません。

この考え方を持つと、
「営業が弱い」
という言葉も少し曖昧に見えてきます。
何が弱いのか。
アポ獲得なのか。
商談化なのか。
提案なのか。
意思決定支援なのか。
契約なのか。
導入なのか。
原因によって、やることは全部変わります。
営業力を上げる前に、
どこで止まっているかを定義する。
ここから始める必要があります。
入口を広げても、途中が詰まれば売上は増えない
TOCでは、
システム全体の成果を制限している「制約」を見つけ、
そこへ力を集中する、
という考え方をします。
営業で考えると、難しくありません。
商談は十分ある。
提案もしている。
しかし、ほとんどが決裁前で止まる。
なら、
さらに新規アポを増やすことより、
意思決定の工程をどう前へ進めるかを考える。
逆に、
既存案件は高い確率で前へ進む。
決裁も速い。
でも、そもそも案件数が少ない。
なら、入口を増やす。
どちらも正しい。
違うのは、
詰まっている場所です。
だから僕は、
「アポ数が大事か、質が大事か」
という議論そのものが少し違うと思っています。
量か質かではない。
今の営業プロセスで、
何が全体の成果を一番制限しているか。
そこを見る。
さらに『ザ・キャッシュマシーン』では、
営業のゴールを受注だけでは見ません。
売った。
契約した。
それで終わりではない。
導入される。
顧客へ価値が提供される。
そして最終的に入金される。
そこまで流れて、初めて会社にはキャッシュが入ります。
だから、
営業部門だけが達成していても、
その後ろで導入が詰まれば会社全体では流れません。
これは営業マンにとって、かなり厳しい見方です。
でも同時に、
「営業成果とは何か」
を考え直す視点でもあります。
営業の仕事は、
注文を取るところまでではない。
顧客が前へ進み、会社にキャッシュが入る流れをつくること。
ここまで見ると、
『ザ・キャッシュマシーン』というタイトルの意味も変わって見えてきます。
『ファウンダー』も、人を速くする前に流れそのものを変えた
この考え方を直感的に理解しやすいのが、
映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』です。
作中では、
マクドナルド兄弟が厨房の仕組みそのものを作り直します。
混雑しているから、
「全員もっと速く動け」
と指示するだけではありません。
メニューを絞る。
配置を変える。
動線を変える。
役割を分ける。
誰がどこに立ち、
何を担当し、
どう商品が流れていけば最短で提供できるのか。
それを考えます。
つまり、
人を速くする前に、流れを速くした。
ここが重要です。
全員は働いています。
誰かだけが楽をしているわけではない。
でも、
全員が全部をやるわけでもありません。
自分が担当する工程へ集中する。
それぞれの仕事がつながることで、
店全体として速くなる。
これは『ザ・キャッシュマシーン』とよく似ています。
営業でも、
「営業マンをもっと速く走らせる」
だけではない。
アポ。
商談。
提案。
意思決定。
契約。
導入。
それぞれの工程がどうつながっているのか。
どこが細くなっているのか。
そこを見る。
僕がこの本から一番持ち帰りたいのは、
人の努力を見るだけでなく、努力が流れる道を見る
という視点です。
本書では、一つの制約を改善すると次の制約が現れます。「もっと頑張る」ではなく、営業のどこへ力を集中すべきかを物語の中で考えられる一冊です。
案件が止まる原因は、顧客が「決められる状態」にないことかもしれない
ここからは、僕自身の営業へ戻ります。
案件が進まないとき、
以前より強く意識していることがあります。
それは、
顧客が意思決定できる条件が揃っているか。
です。
提案を増やす。
連絡を増やす。
資料を増やす。
それでも進まない案件があります。
そんなとき、
こちらが足しているものとは別の場所に問題があるかもしれません。
僕が特に見るのは、
本気度。
お金。
誰が決めるのか。
この三つです。
まず、本気度。
顧客は本当に今この問題を解決したいのか。
「興味があります」
と、
「本当に今やります」
は違います。
なぜ今なのか。
現状のままでは何が困るのか。
どのくらい優先順位が高いのか。
ここが弱ければ、
どれだけ良い提案をしても前には進みにくい。
次がお金です。
価値を感じても、
投資できなければ動けません。
予算があるのか。
誰が持っているのか。
どのタイミングなら使えるのか。
この前提を把握していないまま、
「提案に納得しているから進むはず」
と思うのは危ない。
そして、誰が決めるのか。
担当者との関係が良い。
こちらの話も理解してくれている。
でも、その人が最終的に決めるわけではない。
そんなこともあります。
僕自身、
決裁者とつながると、案件が一気に進む
と感じることがあります。
これは、
決裁者に会えば必ず売れる、
という意味ではありません。
むしろ大きいのは、
何が揃えば決められるのかが見えること
です。
何を不安に感じているのか。
何を判断基準にしているのか。
誰を巻き込まなければいけないのか。
何が不足しているのか。
そこが分かる。
すると、
「もっと提案する」
ではなく、
「この意思決定条件を揃える」
という具体的な次の行動が見えてきます。
営業が見抜くべきなのは、
顧客が迷っていることそのものではない。
なぜ、まだ決められないのか。
そこなのだと思います。
だから僕は、人にしかできない対話へ時間を集中させる
ここまで考えると、
僕が仕事で対人コミュニケーションを重視している理由もつながります。
僕は、
全部頑張るのは当たり前だと思っています。
必要な仕事はやる。
行動量も出す。
だからこそ、
そのうえで自分の時間をどこへ使うかを考えます。
営業で自分が直接やる価値が高いのは、
顧客と話すこと。
本気度を確認すること。
予算の前提を聞くこと。
決裁者につながること。
相手の不安を理解すること。
何が揃えば意思決定できるのかを整理すること。
こうした、
人と人の間でしか拾えない情報
です。
一方で、
内勤で完結する仕事などは、
他の人に任せられるものもあります。
もちろん、
内勤の仕事に価値がないわけではありません。
必要な仕事です。
ただ、
誰がやると全体成果が最も大きくなるか。
そこは考える。
自分の一時間を、
内勤作業に使うのか。
顧客との対話に使うのか。
意思決定の前提を確認するのか。
今の案件を前へ進めるために、
どこへ使うべきなのか。
これは、
『ザ・キャッシュマシーン』で制約へ力を集中する考え方と同じです。
全部に責任を持つ。
でも、
全部を自分で抱えるわけではない。
今、流れを一番前へ進められる場所へ自分の時間を使う。
これが、僕なりの営業への落とし込みです。
成果が止まったら、営業プロセスを4ステップで診断する
では、
案件が止まったら何をすればいいのか。
難しい分析は必要ありません。
僕なら、四つに分けます。
① 分ける。
まず営業を工程に分けます。
リード。
アポ。
商談。
提案。
意思決定。
契約。
導入。
入金。
どこからどこまでを営業として見るかは会社によって違います。
大切なのは、
一つの塊として見ないことです。
② 測る。
次に、
どこまで流れているかを見る。
案件数。
次工程への通過。
滞留期間。
精密な分析でなくても構いません。
「このあたりで案件が止まることが多い」
だけでも見えるものがあります。
③ 一番の詰まりを決める。
全部悪いように見えても、
いったん一つ選ぶ。
案件数不足なのか。
提案なのか。
意思決定なのか。
社内体制なのか。
今、一番全体の流れを止めている場所です。
④ そこへ集中する。
必要な行動を決める。
アポが足りないなら増やす。
決裁者へ会う必要があるなら、その方法を考える。
お金の前提が不明なら確認する。
社内専門家が必要なら巻き込む。
そして、
詰まりが解消されたら、
もう一度見る。
制約は移るからです。

この考え方なら、
量を否定する必要はありません。
むしろ、
量を出したからこそ、
どこで流れが止まるのかが見えます。
そして見えたら、
その場所へ次の努力を集中する。
これを繰り返す。
営業は、
量を出すフェーズと、
詰まりを解くフェーズを、
何度も往復するものだと思います。
『ザ・キャッシュマシーン』では、制約を見つけ、改善し、次に現れた制約を見るという考え方が営業の物語として描かれます。営業を個人技ではなくシステムとして考えたい人には参考になる一冊です。
明日は、止まっている案件を一件だけ前へ進める
最後に、
今日からできることを一つだけ。
営業組織を変える必要はありません。
CRMを作り直す必要もない。
まず、
止まっている案件を一件だけ選んでください。
そして、
その案件がどこで止まっているのかを書きます。
アポなのか。
商談なのか。
提案なのか。
意思決定なのか。
契約なのか。
次に、
なぜ止まっているかを考えます。
特に顧客側の意思決定なら、
三つ確認する。

もちろん、
毎回この三つが原因とは限りません。
だから、
三つのチェックリストを覚えること自体が目的ではありません。
目的は、
原因を決めつけずに、止まっている場所を見ること。
そして最後に、
一つだけ行動を決める。
新しいアポを増やす。
決裁者へ会う。
予算を確認する。
社内の専門家を巻き込む。
何でもいい。
ただし、
「とりあえずもっと頑張る」
ではなく、
今の詰まりを一つ前へ進める行動
にする。
営業では、
量が必要です。
努力も必要です。
僕はそこを否定しません。
でも、
同じ努力をするなら、
どこへ向けるかまで考えたい。
『ザ・キャッシュマシーン』を読んで、
営業を見る視点が一つ増えました。
人を見る。
行動量を見る。
提案を見る。
それだけではなく、
案件がどう流れているかを見る。
そして、
止まっているなら、
なぜ顧客がまだ決められないのかを見る。
そこへ自分の時間と行動を集中する。
これが、
売上を一度つくるだけでなく、
売上が流れ続ける営業へ近づく方法だと思っています。
営業を「才能」や「根性」だけではなく、顧客がキャッシュになるまでの一つのシステムとして考えてみたい人には、『ザ・キャッシュマシーン』は面白い一冊です。
あなたが今追っている案件は、
どこで止まっていますか?
明日は一件だけ、
そこを前へ進めることから始めてみてください。



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