『ザ・ゴール2』の要約と「思考プロセス」の本質を、仕事への応用まで含めて解説します。問題を一つずつ解決しているのに、なぜ仕事の問題は減らないのか。目の前に見えている課題を疑い、本当に変えるべき問題を見つける考え方を、営業の実体験とともに紹介します。
みなさんこんにちは!サラリーマンの大樹です!
仕事をしていると、毎日のように問題が飛んできます。
売上が足りない。
商談が進まない。
顧客から追加の要望が来た。
社内調整が終わらない。
資料を直さなければいけない。
僕は昔、こうした問題が来るたびに、一個ずつ対応していました。
感覚としては、テニスです。
球が来る。
打ち返す。
また球が来る。
また打ち返す。
一個片づけると、仕事を前に進めた感覚があります。
対応が速くなるほど、自分の処理能力も上がったように感じます。
でも、根本を考えるのは苦手でした。
目の前の問題を消しているのに、また別の問題がやってくる。
ラリーは終わらない。
そこで、ある疑問が生まれます。
どれだけ球を打ち返すのが上手くなっても、球が飛んでくる理由を変えなければ、ラリーは終わらないのではないか。
これは仕事も同じです。
問題を一つ解決する。
また次の問題が起きる。
さらに解決する。
それでも問題が減らない。
もしそんな状態が続いているなら、解決する能力が足りないのではないかもしれません。
そもそも、
「いま問題だと思っているものは、本当に解くべき問題なのか?」
という問いが抜けているのかもしれません。
このことを考えるきっかけになったのが、エリヤフ・ゴールドラットの『ザ・ゴール2』です。
前作『ザ・ゴール』では、工場全体の成果を制限する「制約」に注目するTOCが描かれました。
『ザ・ゴール2』では、その考え方がさらに広がります。
工場のボトルネックだけではありません。
経営。
営業。
組織。
交渉。
複雑な問題に対して、
「何を変えるべきなのか」
から考える「思考プロセス」が描かれます。
この記事で伝えたいことは、一つです。
問題解決で最初に疑うべきなのは、解決策ではありません。
「自分はいま、本当に正しい問題を見ているのか」を疑うことです。
『ザ・ゴール2』は、問題への「答え」を増やす本ではありません。複雑に見える状況から、「そもそも何を変えるべきか」を考えるための思考法を、物語を通して学べる一冊です。
問題を解いているのに、なぜ仕事の問題は減らないのか
仕事ができる人ほど、問題への反応が速いです。
売上が落ちた。
「営業件数を増やそう」
会議が長い。
「30分にしよう」
ミスが増えた。
「チェックリストを追加しよう」
商談が進まない。
「提案資料を改善しよう」
全部、もっともらしい。
僕自身も、長い間こう考えていました。
問題が出たら対策する。
新しい問題が出たら、また対策する。
でも、この方法には一つ大きな弱点があります。
目の前に現れたものが、本当に解くべき問題なのかを確認していない。
たとえば、商談が進まない。
そこで資料を改善する。
でも本当の原因が、
「そもそも決裁者と話せていない」
だったらどうでしょう。
どれだけ資料をきれいにしても、商談は動かないかもしれません。
会議が長い。
だから会議時間を30分にする。
でも、本当の問題が、
「そもそも何を決める会議なのか決まっていない」
ならどうでしょう。
30分になっても、結論が出ないだけです。
営業件数が足りない。
だからアポ数を増やす。
でも、本当はアポ数ではなく、
「会っている相手が違う」
ことが問題かもしれません。
この状態で対策を増やすと、仕事はどんどん増えていきます。
問題が起きる。
ルールを追加する。
別の問題が起きる。
確認項目を追加する。
また起きる。
会議を追加する。
結果として、
問題を解決するための仕事が、新しい仕事を生む。
ここで分けて考えたいのが、
問題処理
と、
問題解決
です。
目の前に来たものへ対応するのが問題処理。
なぜその問題が起きているのかまで考え、発生する構造を変えるのが問題解決。
もちろん、仕事には両方必要です。
ただ、問題処理ばかり上手くなると、
忙しいのに、問題は減らない
という状態になります。
だから仕事を本当に変えたいなら、
「次の問題をどう処理するか」
だけではなく、
「なぜこの問題が起きているのか」
を見る必要があります。
最初に間違えるのは「解決策」ではなく「問題設定」
問題解決について考えるとき、多くの人は、
問題
↓
解決策
という順番をイメージします。
でも実際には、その前にもう一段階あります。
何か現象を見る。
↓
「これが問題だ」と判断する。
↓
解決策を考える。
つまり、解決策を考える前に、
問題に名前をつけている。
この問題設定が間違っていたら、その後の努力は全部ズレます。
たとえば顧客から、
「営業力を強化したいんです」
と言われたとします。
そこで、
「営業研修を提案しよう」
と考える。
一見、自然です。
でも、本当に営業力が問題でしょうか。
商品そのものが市場に合っていないのかもしれない。
営業担当者ではなく、マネジメントの問題かもしれない。
ターゲット顧客が違うのかもしれない。
意思決定プロセスが遅いのかもしれない。
「営業力を強化したい」
という言葉は事実です。
でも、
それが本当に変えるべき問題かどうかは、まだ分かりません。
僕はここに、ドラマ『ガリレオ』に近いものを感じます。
湯川学は、目の前で不可解な現象が起きても、それを見たまま答えにはしません。
現象を観察する。
疑う。
仮説を立てる。
そして、
「なぜこんなことが起きるのか」
と、その奥にある仕組みへ進んでいきます。
仕事も同じです。
売上低下。
離職。
クレーム。
商談停滞。
これらは重要な現象です。
でも、
現象と原因は同じではありません。
「売上低下」という名前をつけた瞬間、
僕たちは、
「では売上を増やそう」
と考えます。
でも、本当に考えるべきなのは、
なぜ売上が落ちているのか。
さらに言えば、
売上が落ちる前に、何が起きていたのか。
です。
最初に見つかった「問題」は、まだ事件現場に残された現象にすぎないかもしれない。
だからこそ、一度疑う。
「これは本当に問題なのか。それとも、別の問題から生まれた現象なのか」
解決策を考える能力はもちろん大切です。
でも、その前に覚えておきたいことがあります。
解決策の質は、問題設定の質を超えられません。
『ザ・ゴール2』が最初に問うのは「どう解くか」ではない
『ザ・ゴール2』を一言で要約するなら、
複雑な問題をそのまま受け入れず、「何を変えるべきか」を考えるための本
だと僕は思います。
前作『ザ・ゴール』では、工場の成果を制限する「制約」に注目しました。
すべての工程を同じように改善するのではない。
全体の成果を止めている場所を探す。
そこへ集中する。
『ザ・ゴール2』では、この考え方がさらに一般化されます。
会社の業績。
営業。
マーケティング。
組織内の対立。
複数の利害が絡む問題。
こうした状況でも、
「全部をどう直すか」
ではなく、
「何を変えるべきなのか」
から考えます。
本書の中心にあるのが「思考プロセス」です。
現状問題構造ツリー。
対立解消図。
未来問題構造ツリー。
前提条件ツリー。
移行ツリー。
いくつもの方法が登場します。
でも、全部の書き方を覚えることが本質ではありません。
根っこには、大きく三つの問いがあります。
何を変えるのか。
何に変えるのか。
どうやって変えるのか。
僕が特に重要だと思うのが、一つ目です。
What to change?
何を変えるべきか。
普通、問題が起きると、
「どうやって直そう」
から考えます。
でも、その前に、
「本当にそこを変えるのか」
がある。
ここが大きな違いです。
たとえば、問題が五つ見えているとします。
普通なら、
五つの問題。
だから五つの対策。
と考えます。
でも『ザ・ゴール2』の思考プロセスでは、
その五つは本当に独立した問題なのか
を疑います。
一つの原因が、複数の現象を生み出している可能性があるからです。
因果関係をたどっていくと、
最初は別々に見えた問題が、
同じ根から生まれていた
と分かることがあります。
ここで重要なのは、
「根本原因を一つ見つければ、全部解決する」
と単純化することではありません。
現実の仕事はそんなにきれいではありません。
ただ、
見えている問題の数と、変えるべき場所の数は同じとは限らない。
この視点を持つだけで、問題の見方は大きく変わります。
対立解消図も同じです。
Aを優先したい。
でもBも守りたい。
普通なら、
「どちらを取るか」
「どこで妥協するか」
を考えます。
でも『ザ・ゴール2』では、
その対立を成立させている前提自体を疑います。
本当にAを守るには、Bを犠牲にするしかないのか。
本当に二択なのか。
つまりこの本は、
答えを出す前に、問題の構造と前提そのものを疑う。
そこまで踏み込みます。
僕が昔やっていたのは、まさに逆でした。
何を変えるべきかを十分に考えないまま、
どう変えるか
へ進んでいた。
問題が来た。
対策する。
また来た。
また対策する。
思考プロセスの最初の問いを飛ばして、ずっと三つ目の問いに答え続けていたようなものです。
思考プロセスは、ツリーだけを見ると少し難しく感じます。本書では、アレックスが経営や営業の問題に向き合う物語の中で使われるため、「何を変えるべきか」を実際の状況に当てはめながら理解できます。
僕も問題が来るたび、テニスのように打ち返していた
ここまで偉そうに書いてきましたが、僕自身、根本原因を考えるのは得意ではありませんでした。
むしろ逆です。
問題を聞いたら、すぐ解決策を考えたくなるタイプです。
何か起きる。
「じゃあ、こうしよう」
別の問題が出る。
「なら、次はこれをやろう」
一個ずつ消していく。
当時の感覚を言葉にすると、
テニスみたいに打ち返していました。
球が来る。
返す。
次の球。
返す。
一個処理すると、仕事を前に進めた感覚があります。
何もしていないわけではありません。
むしろ、かなり動いている。
だから自分でも、
「ちゃんと問題に対応している」
と思いやすい。
僕自身もそうでした。
でも、問題を処理する能力が上がっても、
問題の発生源を見る癖はつきませんでした。
根本を考えるのが苦手だったからです。
「なぜこの問題が起きているのか」
より、
「次に何をやれば消せるのか」
を先に考える。
これは短期では速い。
でも、似たような問題がまた起きると、
また新しい対策が必要になります。
今でも、反射的には解決策を考えます。
だからこそ、最近は意識して逆をやるようにしています。
問題を聞いたとき、
すぐに答えを返さない。
一度、
「原因は何だ?」
と考える。
さらに、
「そもそも、これは本当に問題なのか?」
と考える。
目の前に見えている問題から、一段奥へ行く。
この小さな違いだけでも、仕事の見え方は変わります。
テニスで言えば、
球を速く返すことだけ考えていた状態から、
「そもそも、なぜこんな球がずっと飛んでくるんだ?」
とコート全体を見るようになった感覚です。
もちろん、すべての問題に長時間の分析が必要なわけではありません。
すぐ対応したほうがいいこともあります。
でも、
同じ問題が続く。
似た問題が増える。
いくら対策しても忙しさが変わらない。
そんなときまで反射的に打ち返し続けると、ラリーは終わりません。
そこで一度、
「何を変えるべきなんだ?」
と考える。
僕はそうするようになりました。
問題は「受け取る→疑う→掘る→再定義する」
では、仕事でどう使えばいいのでしょうか。
『ザ・ゴール2』の思考プロセスを毎回きれいなツリーにするのは、現実的ではありません。
僕も日常の商談で毎回図を書いているわけではありません。
もっと簡単に使えます。
僕なら、次の順番で考えます。
受け取る。
疑う。
掘る。
再定義する。
そして最後に動く。
まず「受け取る」。
相手が言ったことを、いきなり否定しません。
相手はそう認識している。
自分にはそう見えている。
まず事実として置きます。
次に「疑う」。
その問題が、本当に変えるべき場所なのかを考えます。
たとえば、
「アポが足りない」
という問題があったとします。
ここで、
「アポを増やそう」
とすぐ動かない。
本当に問題はアポ数なのか。
次に「掘る」。
なぜアポが少ないのか。
誰に会おうとしているのか。
会えている相手は誰なのか。
会った後、案件につながっているのか。
そもそもアポ数が増えれば、欲しい成果につながるのか。
掘っていく。
すると、
「アポ数が足りない」
ではなく、
「意思決定に近い相手に会えていない」
という問題が見えてくるかもしれません。
そこで「再定義する」。
アポ数を増やすことが課題だった状態から、
会う相手を変えることが課題になる。
同じ営業活動でも、打ち手はまったく違います。
最後に動く。
この順番なら、
問題
↓
即解決策
ではなく、
問題
↓
本当にそうか?
↓
なぜ?
↓
何を変えるべきか?
↓
解決策
になります。

解決策の質は、問題設定の質を超えられない。
大切なのは、難しい分析を毎回することではありません。
まず一度、
「それ、本当に問題?」
と止まることです。
顧客が口にする課題ほど、「本当の課題」とは限らない
この考え方は、今のコンサル営業で強く感じています。
営業では、顧客に課題を聞きます。
「何かお困りのことはありますか?」
すると、いくつか話してくれる。
ここで、その課題をそのまま受け取って、
「では、それを解決できます」
と提案したくなります。
昔の僕なら、特にそうでした。
でも今は、
最初に聞いた課題=その会社にとって最も重要な課題
とは限らないと思っています。
もちろん、案件や企業によって違います。
最初に話してもらった課題が、そのまま重要なテーマであることもあります。
ただ、必ずしも一致するとは限りません。
本当に今すぐどうにかしなければいけない課題なら、すでに社内で着手していることがあります。
逆に、会社の将来に関わる重要な中期テーマほど、機密性が高く、最初から外部へ簡単には話せないこともあります。
つまり、最初に話してくれるテーマは、
「話せる課題」
ではあっても、
必ずしも、
「最重要課題」
とは限らない。
だから僕は、そこから深く聞くようにしています。
なぜそれが課題なのか。
何をすでに始めているのか。
そのテーマが解決すると、何が変わるのか。
会社として、どこへ向かいたいのか。
そして仮説を置きます。
「もしかすると、○○より△△のほうが重要なのではないか」
もちろん、無理やり機密情報を聞き出すという話ではありません。
顧客には、話せる範囲があります。
だからこそ、
質問する。
仮説を出す。
相手の反応を見る。
また問いを深める。
その繰り返しで、
最初に聞いた「課題」から、
その会社が本当に変えたいものへ少しずつ近づいていく。
ここに営業の価値があると思っています。

相手が話した課題に答えるだけでは、提案の幅がそこで止まってしまいます。
聞こえてきた言葉を、そのまま最終回答にしない。
「本当に変えたいものは何か」
を相手と一緒に探す。
これは『ザ・ゴール2』の、
「何を変えるべきか」
という問いとも重なります。
『ザ・ゴール2』の面白さは、思考プロセスが工場だけでなく、経営や営業、組織の対立など幅広い問題へ広がっていくところです。「自分の仕事では何を変えるべきか」と考えながら読むと、単なるビジネス小説ではなくなります。
明日からは、問題を聞いた瞬間に答えを出さない
ここまで読んで、
「でも現状問題構造ツリーなんて書けないよ」
と思った人もいるかもしれません。
大丈夫です。
僕も、明日から全員にツリーを書いてほしいとは思いません。
最初にやることはもっと小さくていい。
問題を聞いた瞬間に、
答えを出さない。
これだけです。
たとえば上司から、
「営業件数を増やしてほしい」
と言われた。
すぐ、
「分かりました。増やします」
と動く前に、
なぜ増やす必要があるのかを考える。
案件が足りないのか。
案件はあるが、商談化していないのか。
会えている相手が違うのか。
今の案件単価では目標に届かないのか。
同じ「営業件数を増やす」でも、背景によって打ち手は変わります。
「資料作成が遅い」
でも同じです。
作業スピードの問題なのか。
資料の目的が曖昧なのか。
相手に何を判断してほしいのか決まっていないのか。
「遅い」という現象だけ見ても、解決策は決まりません。
僕なら、最低でも次の三つを聞きます。
なぜ、それが問題だと思っている?
その問題が起きる前に、何が起きている?
それを解決したら、本当に望む状態になる?
三つは、原因を掘るための補助です。
でも、最初に覚えてほしい問いは一つだけです。
「それ、本当に解くべき問題?」
これを、答える前に一度だけ入れる。
それだけでも、最初に見えていた問題から一段奥へ行けます。

球ではなく、球が飛んでくる理由を見る
問題を速く処理できることは武器です。
僕も、その力は必要だと思っています。
でも、その武器だけで戦っていると、ずっと忙しい。
次の球をどう返すかではなく、
なぜこの球が飛んできたのか。
そこを見る時間を少しだけ作る。
これが、『ザ・ゴール2』を仕事で使う最初の一歩だと思います。
仕事ができる人は、答えをたくさん持っている人ではない
昔の僕は、仕事ができる人とは、
問題が来た瞬間に答えを返せる人だと思っていました。
今でも、その能力は重要だと思っています。
仕事にはスピードが必要です。
でも、それだけでは足りません。
目の前の問題へ速く答えを出せても、
そもそも違う問題を解いていたら意味がない。
『ザ・ゴール2』を読んで考えさせられるのは、まさにここです。
「どう変えるか」の前に、
「何を変えるべきか」
がある。
答えを探す前に、問題を見る。
問題を見る前に、自分の前提を疑う。
この順番です。
僕自身、今でも問題が飛んでくると、すぐ打ち返したくなります。
だからこそ、一度止まるようにしています。
「原因は何だ?」
「この問題、本当にそのまま解けばいいのか?」
と考える。
完璧にできるわけではありません。
それでも、昔のように全部の球を反射的に打ち返していた頃とは、仕事の見方が変わりました。
問題解決で最初に疑うべきなのは、解決策ではありません。
「いま問題だと思っているものは、本当に問題なのか」
です。
次に仕事で問題が飛んできたら、すぐに打ち返さなくてもいい。
まず一度だけ、
「それ、本当に解くべき問題?」
と問いかけてみてください。
その一問から、本当に変えるべき場所が見えてくるかもしれません。
「何を変えるべきか?」という問いを、自分の仕事で使えるところまで深めたい人には、『ザ・ゴール2』がおすすめです。思考プロセスを単なるフレームワークではなく、実際の問題解決の物語として追うことで理解が深まります。



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