『人は話し方が9割』を営業経験と重ねながら解説します。話し方とは、話す技術ではなく、相手を理解しようとする姿勢が伝わる技術でした。役員商談や接待で実践してきた経験をもとに、「信頼される人」の共通点を紹介します。
みなさんこんにちは!サラリーマンの大樹です。
このブログでは、「読書を、仕事の成果につなげる」をテーマに、本から学んだことを営業や仕事の実体験と結びつけながら発信しています。
営業という仕事は、提案力がすべてだと思っていました。
新人の頃の私は、商談が決まるたびに提案資料ばかり磨いていました。
競合との違いを書き足す。
説明する順番を変える。
想定質問を作る。
何度も一人でプレゼンの練習をする。
「提案が完璧なら契約は取れる。」
本気でそう信じていました。
しかし、現実はそう甘くありませんでした。
資料に自信がある商談ほど、反応が薄いことがあります。
説明は最後まで聞いていただける。
「分かりやすかったです。」とも言っていただける。
それでも次の商談につながらない。
一方で、私より資料がシンプルな先輩が、自然と契約を取っていく姿も何度も見てきました。
なぜだろう。
当時の私は、「もっと話し方を磨かなければいけない」と考えていました。
だから、『人は話し方が9割』というタイトルを見たとき、「営業に役立つテクニックが学べそうだ」と思い、手に取りました。
ところが、読み終えたあとに残ったのは、「上手に話そう」という考えではありませんでした。
むしろ逆でした。
人は、話が上手い人の話を聞くわけではない。
自分を理解しようとしてくれる人の話を聞く。
私は営業を通して何となく感じていたことを、この一冊によって言語化してもらえた気がしました。
そして今では、商談の準備で最初に開くのは提案資料ではありません。
相手のことが分かる情報です。
Instagramを見る。
Facebookを見る。
インタビュー記事を読む。
会社のニュースを見る。
趣味や休日の過ごし方を調べる。
好きなお酒や食べ物が分かれば、お店選びの参考にもします。
ゴルフが趣味なら最低限のルールを勉強し、キャンプが好きなら最近話題のキャンプ場を調べます。
「そんなことまでやるんですか?」
と聞かれることがあります。
でも、私にとってこれは営業テクニックではありません。
相手を理解したいからです。
どんな価値観で仕事をしているのか。
何を大切にしている人なのか。
どんな人生を歩んできたのか。
それを知らないまま提案することに、私は違和感を覚えるようになりました。
営業を続ける中で、一つだけ確信したことがあります。
相手を知らずに提案すると、完璧でも聞いてもらえないし、聞いてもらえても刺さらない。
この順番を理解してから、私の営業は大きく変わりました。
そして、『人は話し方が9割』は、その考えが間違っていなかったことを教えてくれた一冊でもありました。
『人は話し方が9割』は、「話す技術」ではなく「安心して話してもらう技術」を教えてくれる
本書を読み進める中で、私が最も印象に残ったのは、「人は話したい生き物である」という考え方でした。
多くの人は、「どう話せば相手を惹きつけられるか」を考えます。
しかし著者は、その逆を伝えています。
相手が気持ちよく話せる場をつくることのほうが大切だ。
だからこそ、本書では「聞き方」や「共感」が何度も登場します。
その代表的な考え方が「拡張話法」です。
相手の話を否定せずに受け止める。
共感する。
そして、興味を持って質問を重ねる。
そうすることで、相手は「もっと話したい」と感じるようになります。
私はこの部分を読んだとき、「営業でもまったく同じだ」と感じました。
新人の頃の私は、自分が話すことばかり考えていました。
商品説明はどうするか。
競合との違いはどう伝えるか。
どんな順番なら納得していただけるか。
頭の中は、常に「自分が何を話すか」でいっぱいでした。
しかし今は違います。
商談で一番大切なのは、私が話す時間ではありません。
お客様が話す時間です。
なぜなら、本当に価値のある情報は、提案資料には書いていないからです。
例えば、
「実は今、一番困っているのはそこじゃないんです。」
「社内では誰にも言っていませんが……。」
「本当は予算よりも運用のほうが心配なんです。」
こうした言葉は、信頼関係がなければ出てきません。
だから私は、商談の冒頭で無理に商品説明へ入りません。
まずは相手を知るための会話をします。
休日は何をしているのか。
最近どんな仕事に力を入れているのか。
会社として目指している方向はどこなのか。
そうした会話を通じて、相手が自然と話しやすい空気をつくります。
もちろん、雑談を長くすることが目的ではありません。
目的は一つです。
相手を理解すること。
ここを勘違いすると、会話は単なるアイスブレイクで終わってしまいます。
私は営業を始めた頃、「ラポール形成」という言葉をよく聞きました。
雑談で距離を縮める。
共通点を見つける。
相手に好かれる。
確かに、それも間違いではありません。
しかし、経験を重ねる中で思うようになりました。
ラポール形成とは、テクニックではありません。
「この人は、自分を理解しようとしてくれている。」
そう相手に感じてもらうことです。
だから、相手に興味がなければ長続きしません。
質問だけ並べても、尋問のようになってしまいます。
逆に、本当に相手を知りたいと思っていれば、自然と次の質問が出てきます。
「なぜそう考えるようになったんですか?」
「その経験は今の仕事にもつながっていますか?」
「その考え方、すごく面白いですね。」
こうした会話の積み重ねが、安心感につながります。
そして、その安心感があるからこそ、お客様は本音を話してくださるようになります。
営業を続ける中で、私はある流れがあることに気付きました。

昔の私は、この順番を逆に考えていました。
良い提案をすれば信頼される。
そう思っていたのです。
でも実際は違いました。
信頼があるから提案を聞いてもらえる。
『人は話し方が9割』は、その当たり前だけれど忘れがちな順番を、改めて教えてくれた一冊でした。
「提案力」よりも、「理解力」が成果を左右する
営業という仕事をしていると、「提案力を上げたい」という相談を受けることがあります。
もちろん、提案力は重要です。
商品の知識がなければ、お客様に価値を伝えることはできません。
論理的に説明できなければ、納得もしていただけません。
私自身も、提案資料は何度も見直しますし、商談前には必ずシミュレーションを行います。
ただ、それ以上に大切だと感じていることがあります。
「その提案は、本当に相手が求めているものなのか。」
という視点です。
これは、新人時代に経験した失敗から学びました。
当時の私は、「良い提案」とは、商品の魅力を漏れなく説明することだと思っていました。
機能はすべて伝える。
導入メリットもすべて伝える。
競合との違いも説明する。
「説明不足」と思われないよう、とにかく情報量を増やしていました。
しかし、お客様の反応は思ったほど良くありません。
今振り返ると、その理由はシンプルです。
相手が知りたいことではなく、私が伝えたいことを話していたからです。
例えば、あるお客様は「業務効率化」を目的に問い合わせをしてくださいました。
私はシステムの機能を一つずつ丁寧に説明しました。
「この機能では〇〇ができます。」
「こちらは分析機能です。」
「この画面では△△が確認できます。」
説明としては間違っていません。
でも、商談が終わったあとに気付いたのです。
私は一度も、
「なぜ業務効率化が必要なのですか?」
と聞いていませんでした。
もし、その質問をしていたらどうだったでしょう。
「担当者が退職してしまって、人手が足りない。」
「店舗が増えて管理が追いつかない。」
「残業時間を減らさないと採用が難しい。」
理由は会社ごとに違います。
そして、その理由によって提案の仕方も変わります。
人手不足が課題なら、「操作の簡単さ」を中心に伝えるべきかもしれません。
店舗管理が課題なら、「情報を一元管理できること」を先に伝えるべきかもしれません。
残業削減が目的なら、「作業時間がどれだけ短縮されるか」が最も重要になります。
つまり、お客様は商品を買いたいのではありません。
課題を解決したいのです。
当たり前のことですが、営業を始めた頃の私は、その当たり前が見えていませんでした。
『人は話し方が9割』には、「相手に9割話してもらう」という考え方があります。
私はこれを読んだとき、「営業とはまさにこれだ」と感じました。
営業の価値は、たくさん話すことではありません。
相手が話すことで、本当の課題を一緒に見つけることです。
実際、成果を出している営業ほど、自分が話す時間は短いように感じます。
質問をする。
相手の言葉を受け止める。
「つまり、こういうことですね。」と整理する。
そして、必要なタイミングだけ提案する。
この流れだからこそ、「この人は自分のことを理解してくれている」という安心感が生まれます。
私は営業だけでなく、ボルダリングでも似たようなことを感じます。
ジムで初めて会う人にアドバイスをするとき、いきなり登り方を教えることはありません。
まず、「どのグレードを登っていますか?」
「今日は何を練習したいんですか?」
と聞きます。
相手が「保持力を伸ばしたい」のか、「スラブが苦手」なのかによって、伝える内容は変わるからです。
これは仕事でも、趣味でも同じです。
相手を知らずにアドバイスをすることは、自分の正解を押し付けることになりかねません。
だから私は、営業でも日常でも、一つのことを意識しています。
話す前に、理解する。
『人は話し方が9割』は、会話のテクニックを教える本というよりも、この姿勢を教えてくれる本でした。
営業だけではない。「理解しようとする姿勢」は、すべての人間関係に通じる
ここまで営業の話を中心に書いてきました。
しかし、『人は話し方が9割』で書かれている考え方は、営業だけのものではありません。
私は仕事を通じて、多くのマネージャーや経営者の方とお会いしてきました。
成果を出している人には共通点があります。
それは、話が上手な人ではなく、「相手が話しやすい空気」をつくるのが上手な人だということです。
例えば、会議でもそうです。
成果を出すリーダーほど、自分が話し続けることはありません。
「どう思う?」
「その理由をもう少し教えて。」
「他に方法はありそう?」
そんな問いを投げかけながら、相手の考えを引き出していきます。
すると、メンバーは自然と自分の考えを話し始めます。
一方で、自分の意見だけを話し続ける会議では、メンバーは受け身になります。
その場では納得したように見えても、本当の意味で腹落ちしているとは限りません。
これは営業でも同じです。
営業が一方的に課題を決めるのではなく、お客様自身が、
「確かに、それが一番の課題ですね。」
と言葉にした瞬間、提案は大きく前へ進みます。
相手自身が納得しているからこそ、行動につながるのです。
だから私は、「正しい答えを話すこと」よりも、「相手が自分で答えを見つけられる会話」を意識しています。
本書の中でも印象的だったのが、「否定しない」という考え方です。
私たちは無意識のうちに、
「でも」
「それは違うと思います。」
「普通はこうですよ。」
と言ってしまうことがあります。
もちろん、仕事では意見をぶつけ合う場面も必要です。
しかし、相手が話し終える前に否定されると、人はそれ以上話したくなくなります。
営業でも同じでした。
新人の頃の私は、お客様の認識が違うと感じると、すぐに訂正していました。
「実は、それは違いまして……。」
「本当はこういう仕組みなんです。」
正しい説明をしているつもりでした。
でも今振り返ると、私は「正しいこと」を伝えることに集中しすぎて、「なぜそう思ったのか」を聞けていませんでした。
例えば、
「そう思われた理由を教えていただけますか?」
と一言聞くだけで、お客様の背景が見えてきます。
過去に別のサービスで失敗した経験があったのかもしれません。
社内で反対意見が出ているのかもしれません。
競合から違う説明を受けているのかもしれません。
背景が分かれば、伝え方は大きく変わります。
これは営業だけでなく、職場でも、家庭でも同じだと思います。
相手の意見を変えることよりも先に、相手がその考えに至った理由を理解する。
その順番を守るだけで、会話の雰囲気は驚くほど変わります。
私はこの本を読み終えたあと、「話し方」というタイトルに少し違和感を覚えました。
もちろん、話し方について書かれている本です。
しかし、それ以上に伝えたいことは、
「相手を尊重する姿勢」
なのではないかと思ったからです。
営業でも、人間関係でも、人は「話が上手い人」を信頼するわけではありません。
「この人は、自分のことを理解しようとしてくれている。」
そう感じたときに、初めて心を開きます。
だから私は今でも、商談前には提案資料より先に相手のことを調べます。
そして商談では、自分が話すことよりも、相手が安心して話せる時間をつくることを意識しています。
『人は話し方が9割』は、私に「話す技術」を教えてくれた本ではありません。
人と向き合う姿勢を、もう一度見直させてくれた本でした。
私が『人は話し方が9割』から学んだ、一番大きなこと
営業を始めてから、私は「提案力」が成果を左右すると信じていました。
だから資料を磨きました。
話す順番を考えました。
想定質問も作りました。
もちろん、それらは今でも必要なことです。
しかし、この本を読んで改めて感じたのは、それらは**「聞いてもらえて初めて価値を持つ」**ということでした。
どれだけ論理的な提案でも、
どれだけ完成度の高い資料でも、
相手が心を閉ざしていたら届きません。
だから営業には、提案力よりも前に必要なものがあります。
それが、「この人の話なら聞いてみよう」と思ってもらうことです。
私は営業を続ける中で、その順番を次のように考えるようになりました。

昔の私は、この順番が逆でした。
良い提案を作れば信頼される。
そう思っていたのです。
でも実際には、
信頼があるから提案を聞いてもらえる。
その違いに気付いてから、商談の景色は変わりました。
提案資料を説明する時間は短くなりました。
その代わり、お客様が話す時間は長くなりました。
すると不思議なことに、以前は出てこなかった本音が少しずつ聞けるようになりました。
「実は社内で反対されていて。」
「本当はそこじゃなくて別の課題があるんです。」
「その提案なら一度持ち帰って相談してみます。」
営業として一番価値がある瞬間は、商品を説明している時間ではありません。
相手が本音を話してくださる瞬間です。
その瞬間があるからこそ、本当に役立つ提案ができます。
この考え方は、仕事だけではありません。
例えば、後輩を指導するとき。
「こうしたほうがいい。」
とすぐにアドバイスするより、
「どう考えたの?」
「何が難しかった?」
と聞いたほうが、相手は素直に話してくれます。
夫婦や友人との会話でも同じです。
相手が求めているのは、正論ではなく、「分かってもらえた」という安心感であることは少なくありません。
私は以前、相談を受けるとすぐ解決策を話していました。
でも今は、一度立ち止まるようにしています。
「まずは最後まで聞こう。」
そう意識するだけで、会話の質は大きく変わりました。
『人は話し方が9割』は、「うまく話す方法」を教える本ではありません。
人は、理解してくれる人に心を開く。
その当たり前だけれど忘れがちな事実を、改めて教えてくれる一冊です。
だから私は、この本を営業職だけでなく、マネージャーやリーダー、後輩を育成する立場の人、そして人間関係をより良くしたいと思っている人にもおすすめしたいと思います。
「話す技術」を学びたい人ほど、実は「聞く姿勢」の大切さに気付くはずです。
まとめ|話し方とは、「伝える技術」ではなく「理解しようとする姿勢」である
私は今でも、商談の前日に提案資料を見直します。
伝える順番を確認し、想定される質問を考え、最後まで準備をします。
でも、その前に必ずやることがあります。
相手を知ることです。
Instagramを見る。
インタビュー記事を読む。
会社のニュースを読む。
趣味や価値観を調べる。
もし会食があるなら、お店選びにも時間をかけます。
好きなワインが分かれば、お店に相談することもあります。
ゴルフが趣味なら最低限の知識を身につけます。
以前の私は、これも営業スキルの一つだと思っていました。
しかし、『人は話し方が9割』を読んで、その考えは少し変わりました。
これはスキルではありません。
相手を尊重する姿勢なのだと気付いたのです。
「あなたのことを理解したい。」
その気持ちは、不思議なくらい相手に伝わります。
だからこそ、人は安心して話せるようになります。
本音を話してくださいます。
そして、その本音があるからこそ、本当に役立つ提案ができます。
営業という仕事は、提案力が評価される仕事です。
だからこそ、提案そのものを磨くことに意識が向きがちです。
もちろん、それは間違いではありません。
しかし、営業を続ける中で私が何度も実感してきたことがあります。
提案は、聞いてもらえて初めて価値を持つ。
そして、聞いてもらうためには、相手に「この人は自分を理解しようとしてくれている」と感じてもらう必要があります。
私は、この順番を忘れないようにしています。

この図を見ると、「話し方」は一度も出てきません。
でも、私はこれこそが『人は話し方が9割』という本が伝えたかったことなのではないかと思っています。
話し方は、相手を言い負かすための技術ではありません。
話し方は、自分を良く見せるための技術でもありません。
相手を理解しようとする姿勢が、自然と会話に表れた結果なのだと思います。
営業でも、マネジメントでも、採用でも、夫婦でも、友人でも。
相手が変わっても、この考え方は変わりません。
人は、自分を理解しようとしてくれる人に心を開きます。
だから私は、この本を「会話術の本」としてではなく、「信頼関係のつくり方を学ぶ本」としておすすめしたいと思います。
もし今、
「もっと上手に話せるようになりたい。」
そう思っているなら、一度だけ視点を変えてみてください。
「どう話すか」ではなく、「どれだけ相手を理解しようとしているか」。
そこに意識を向けるだけで、仕事も、人間関係も、きっと今までとは違って見えてくるはずです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このブログでは、「読書を、仕事の成果につなげる」をテーマに、ビジネス書から得た学びを、営業や仕事での実体験と結び付けながら発信しています。
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